ローマ(6)
サン・ピエトロ。今回はあくまで仕事とはいえ、空き時間があったらこの3つだけは見ようと決めていたものがあった。それがフォロ・ロマーノ、システィーナ礼拝堂、そしてここサン・ピエトロ寺院の「ピエタ」である。入って右手すぐ。寺院内を埋める観光客のざわめきにも関わらず、しっとりと静寂をまとっている。この巨大な寺院や、ローマ中に屹立する多くの彫刻に比して、それはあまりにも小さく、悲しげである。しかし、何か一線を超越したものを眼の前にした時に訪れる奇妙な感情の平衡感覚が、壮麗なドームでも雄大な遺跡でもなく、確かにこの小さな母子像にあった。
(最終回)
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